臍ヘルニア(お臍のヘルニア)について
臍ヘルニアとは?
東京浅草キュアメディクスで、最近多くのお問い合わせがあるのがおへその出っ張りについてです。実は、おへその出っ張りもヘルニアという病態で臍ヘルニア(さいヘルニア)という病気です。臍ヘルニアは、お臍(へそ)の部分の筋肉や筋膜が弱くなったり、完全に閉鎖しなかったりすることで、その隙間から腹膜や腸などの腹腔内の組織が皮膚の下に脱出してくる状態を指します。「でべそ」とも呼ばれることがありますが、医学的にはヘルニアの一種です。
原因
臍ヘルニアの原因は、乳幼児と成人で異なります。
- 乳幼児の臍ヘルニア:
- 生まれつきお臍の穴(臍輪)が完全に閉じていないために起こります。
- 多くは生後数ヶ月以内に気づかれ、1歳頃までに自然に治ることが多いです。
- 成人の臍ヘルニア:
- 妊娠・出産、肥満、腹水、慢性の咳、重い物を持ち上げる習慣など、腹圧が持続的にかかることが原因で、お臍の部分の筋膜が弱くなって発症します。
- 一度発症すると自然に治ることは稀です。
症状
- お臍の部分が膨らむ(立ったり、お腹に力を入れたりすると目立つことが多い)。
- 通常、痛みはありませんが、押すと引っ込むことが多いです。
- 稀に、脱出した腸が締め付けられて血流が悪くなる「嵌頓(かんとん)」を起こすことがあります。この場合、強い腹痛、嘔吐、お臍の膨らみが硬くなり押しても引っ込まないなどの症状が現れ、緊急手術が必要になることもあります。
検査
- お臍の部分のが膨らみをエコーで検査します。
- 飛び出しているヘルニアの内容物、大きさなどを詳しく調べるにはCT検査が必要になります。
- 手術をご希望される場合には、術前の検査(血液検査・心電図・胸部レントゲン・肺機能検査等)を行います。

臍ヘルニアCT検査画像
治療法
治療法も乳幼児と成人で異なります。
- 乳幼児の臍ヘルニア:
- 多くは1歳頃までに自然治癒するため、経過観察が基本です。
- 2歳を過ぎても治らない場合や、ヘルニアの穴が大きい場合、嵌頓の危険性がある場合などは手術が検討されることがあります。
- 圧迫療法(専用の絆創膏などでヘルニアを圧迫する方法)が行われることもあります。
- 成人の臍ヘルニア:
- 自然治癒は期待できないため、症状がある場合や嵌頓のリスクがある場合は手術が基本的な治療法となります。
- 手術では、ヘルニアの原因となっているお臍の弱い部分を縫い合わせるか、人工のメッシュシートを使って補強します。
- 手術方法は、従来から行われている開腹手術と、傷が小さく済む腹腔鏡下手術があります。どちらの方法が適しているかは、ヘルニアの状態や患者さんの状況によって医師が判断します。当院では、痛みの少な腹腔鏡下手術を第1選択としております。
入院日数(手術の場合)
手術方法や患者さんの状態、病院の方針によって異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
- 日帰り手術: 施設によっては日帰り手術が可能な場合もあります。
- 入院の場合:
- 開腹手術: 3日~1週間程度
- 腹腔鏡下手術: 2日~5日程度
これはあくまで目安であり、術後の経過によって変動します。当院は、日帰り手術専門クリニックですので、入院が必要な患者さんには、連携をとっている入院のできる施設へ責任を持ってご紹介いたします。
重要な注意点
- 自己判断せず、必ず医師の診察を受けてください。
- 上記は一般的な情報であり、個々の症状や状態によって治療法や入院期間は異なります。
- 嵌頓が疑われる症状(強い腹痛、嘔吐、ヘルニアが硬く戻らないなど)がある場合は、速やかに医療機関を受診してください。
おへその出っ張りが気になったら、適切な治療を受けることが大切です。お大事になさってください。
おへそのでっぱり、鼠径部の膨らみ、違和感を感じたら外科の専門医療機関へ受診しましょう
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東京浅草キュアメディクス 理事長
松田 年 (まつだ みのる)
医学博士・外科専門医・内視鏡外科学会技術認定医旭川医科大学卒業後、日本大学病院で、胃・食道・大腸などの消化器癌手術を数多く経験。中でも内視鏡・腹腔鏡を使った外科手術は日本国内でも最も早く取り入れた一人である。2015年より外科の日帰り手術を専門とする医療に取り組み2018年に旭川キュアメディクス開院。
その経験から2024年に台東区で初の日帰り手術専門のクリニックである、東京浅草キュアメディクス開院。
鼠径ヘルニア日帰り手術を中心に、患者さまの満足度の高い日帰り手術の提供を日々研究しています。