鼠径ヘルニア日帰り手術におけるTAPP法において、医師の経験や技量が高いことは、手術の安全性と質の向上に大きく貢献します。具体的には、以下の点に影響があると考えられます。
1. 手術時間と身体への負担
経験豊富な医師は、スムーズな手技で手術時間を短縮できます。手術時間が短いほど、患者さんの身体への負担(麻酔時間、出血量など)が軽減され、術後の回復も早まる傾向にあります。
2. 合併症のリスク低減
TAPP法は腹腔鏡を使って腹腔内からヘルニアを修復する手術であり、腹腔内の操作が伴います。そのため、医師の技量が特に重要となります。
- 臓器損傷のリスク: 腹腔鏡下手術に不慣れな医師の場合、腸管などの臓器を傷つけてしまうリスクがゼロではありません。熟練した医師は、的確な手技でこのリスクを最小限に抑えることができます。
- 出血のリスク: 手術中に血管を損傷し、出血が起こる可能性もあります。経験豊富な医師は、出血を速やかに止血し、合併症を防ぐことができます。
- 術後慢性疼痛: 鼠径ヘルニア手術後の後遺症として、術後慢性疼痛が挙げられます。これは、手術中に神経を損傷したり、メッシュの留置方法が不適切であったりすることが原因で起こることがあります。経験豊富な医師は、神経の走行を正確に把握し、メッシュを適切に留置することで、このリスクを低減させることができます。
3. 再発率
鼠径ヘルニア手術において、再発は最も重要な問題の一つです。再発を防ぐためには、ヘルニア門(ヘルニアが出てくる穴)をしっかりと閉鎖し、メッシュを適切に配置することが不可欠です。経験豊富な医師は、ヘルニアの状態を正確に評価し、再発しにくいように手術を行うことができます。
4. 日帰り手術の可否と安全性
日帰り手術は、患者さんの術後管理を円滑に行うための適切な手技と判断力が求められます。医師の経験が豊富であれば、手術中のトラブルを未然に防ぎ、術後合併症のリスクを低く抑えることで、より安全に日帰り手術を実施することが可能になります。
まとめ
TAPP法は、腹腔鏡下手術の中でも高度な技術を要する術式です。そのため、医師の経験や技量によって、手術時間、身体への負担、合併症のリスク、再発率に大きな差が出ることがあります。鼠径ヘルニアの日帰り手術を検討する際には、その術式を得意とし、豊富な経験を持つ医師を選ぶことが、安全で質の高い手術を受ける上で非常に重要と言えるでしょう。
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東京浅草キュアメディクス 理事長
松田 年 (まつだ みのる)
医学博士・外科専門医・内視鏡外科学会技術認定医旭川医科大学卒業後、日本大学病院で、胃・食道・大腸などの消化器癌手術を数多く経験。中でも内視鏡・腹腔鏡を使った外科手術は日本国内でも最も早く取り入れた一人である。2015年より外科の日帰り手術を専門とする医療に取り組み2018年に旭川キュアメディクス開院。
その経験から2024年に台東区で初の日帰り手術専門のクリニックである、東京浅草キュアメディクス開院。
鼠径ヘルニア日帰り手術を中心に、患者さまの満足度の高い日帰り手術の提供を日々研究しています。